植物繊維
植物の繊維はセルロースという有機化合物で出来ている。そのため、セルロース繊維ともいう。天然の綿・麻はもとより、木材を含む全ての植物の繊維はセルロース繊維である。植物の中でも、最も人間に活用されているのが綿であり、また、麻である。
紙を作るためのパルプ等も木材や竹、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)などの植物繊維であるが、このサイトの趣旨からは外れるため割愛する。
綿(わた)とは、アオイ科の植物の名前。仲間にはハイビスカス、芙蓉、槿(むくげ)、立葵(たちあおい)、オクラなどがある。また、木材パルプの代用品として注目されているケナフも同じ仲間である。綿の実(コットンボール)の種から取った繊維を綿花(めんか)といい、これが木綿綿(もめんわた)である。主に中国、アメリカ合衆国、ブラジル、旧ソ連、インド、パキスタン、トルコ、エジプトなどで作られている。
綿の繊維を紡績し作られた糸が綿糸(めんし)であり、綿糸を使った織物が綿織物(めんおりもの)である。英語でコットンファブリックと呼ばれ、日本では省略してコットンと呼ばれることが多い。よって、コットンと呼ぶ場合も素材としての場合と、織物としての場合がある。
綿の繊維は中空で中に水分が入っているが、乾燥により中の水分が失われ、扁平でよじれた繊維となる。この形状が綿製品の特性を生む要素となっている。綿織物の特徴は以下の通りである。
長所
水に濡れることで強度を増す。(洗濯に強い)
吸湿性・吸水性に優れている。
耐熱性に優れている。
染色性が良い。
アルカリに強い。
保温性がある。
短所
しわになりやすい。
水に濡れると収縮する。
強い酸に弱い。
日光により退色しやすい。
綿の種類
綿の種類は繊維の長さで大別される。
超長繊維綿(繊維長35mm以上)
細番手(ほそばんて)の高級糸に使用。
海島綿、ギザ45綿、ピマ綿、スーピマ綿 、トルファン綿など
長繊維綿(繊維長29mm〜34mm)
中番手(なかばんて)の高級糸に使用。
アメリカ綿、エジプト綿、中国綿など
中繊維綿(繊維長21mm〜28mm)
中番手の糸に使用。
アメリカ綿やCIS綿(旧ソ連綿)、メキシコ綿、中国綿など
短繊維綿(繊維長20mm以下)
太番手(ふとばんて)の糸や布団の中綿(なかわた)に使用。
インド綿、パキスタン綿など
綿織物についての注意事項は別ページで
「めん」と「わた」との呼び分けが難しいが、およそ植物としての呼び方と真綿状の形態を「わた」と表し、素材としての呼び方が「めん」で落ち着いているようである。
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麻と呼ばれるものには20種類ほどあり、1年草もしくは多年草である。表皮の下にある靭皮(じんひ)を繊維として使用するものと、葉脈(ようみゃく)の繊維を利用するものの、2種類に分けられる。
靭皮を使うものは、苧麻(ちょま)・亜麻・大麻・黄麻(おうま)などがあり、葉脈を使うものに、マニラ麻・サイザル麻などがある。一般に麻織物として使用するもので、衣料用に使用されるのは、亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)である。黄麻(ジュート)はコーヒー袋など資材に利用される。また、葉脈を使うものも資材として使用され、これら資材用の麻は紐、ロープ、袋、カーペット裏や、魚網などに利用される。消防用のホースも麻で出来ている。
家庭用品品質表示法による分類では、衣類等の品質表示における麻の定義について、苧麻と亜麻の2種を麻と表示することが出来る。そこで、それ以外の麻については、指定外という表示になるが、ジュートやヘンプ(繊維採取用改良大麻)という表示がされている物もある。
本来、日本で麻というのは大麻のことであったが、現在は栽培が禁止されている為、麻=大麻ということは無い。しかし、昔の文献等で麻というのは大麻であり、麻の葉の家紋も大麻の葉である。綿が日本に入ってくるまでの衣服は一部の絹以外ほとんどが大麻であった。
麻織物一般の特徴は以下の通りである。
長所
天然繊維中最も強度があり、水に濡れると強度が増す。
水分の吸湿性があり、吸水・発散速度が天然繊維中最も早い。
熱の伝導性が良く、冷涼である。
光沢に優れている。
繊維に張りとシャリ感があり、肌に密着しない。
短所
水に濡れた状態での摩擦により毛羽立ち易い為、ドライクリーニングが必要。
皺になり易いが、水に濡れると更に深く皺になる。
繊維が硬い為、肌に刺激がある(肌の弱い人は注意)。
リネンとラミーの違い
リネンの特徴は、繊維が短く細くて、しなやかである。対してラミーは繊維が長く太い。また、絹のような光沢があり張りがある。また、比較した場合にラミーの方が強度が高く、吸水性や発散性も高い。
また、リネンの産地がロシアやベルギーなどヨーロッパとペルーなのに対し、ラミーはフィリピンや中国、ブラジルである。
麻織物についての注意事項は別ページで
動物性繊維
動物の毛はたんぱく質複合体でできている。このため動物繊維をたんぱく質繊維とも言う。一般に織物に使用される動物性繊維は、絹、羊毛、その他獣毛に大別される。日本においては、羊毛、獣毛を1つにまとめ毛と表示する。絹の主要成分は繊維状たんぱく質の一種のフィブロインでできており、羊毛などの毛の繊維成分は、たんぱく質の一種のケラチンである。
動物繊維は、ほとんどの酸には強いが、強いアルカリにはとけてしまう。また、塩化系漂白剤でも傷みがはげしい。
絹
英語でシルク(Silk)。絹は蚕(かいこ)という蛾の幼虫の繭(まゆ)から得られる。繭から繰糸されたばかりの糸は生糸(きいと)と呼ばれる。この生糸を精錬したものを絹糸(練糸)と呼ぶ。主な産地は、日本・中国・イタリアなど。
ほとんどが養蚕(ようさん)だが自然に育った野蚕の繭から得たものもある。養蚕の糸は白いが、野蚕の糸は茶褐色で、漂白しても純白になり難い。また繊維は強靭だが、硬く太い(扁平)。一方養蚕の糸は細く柔らかく、光沢もあり、染色性も良い。
絹は植物繊維・動物繊維の中で唯一長繊維(フィラメント)である。
絹の特徴は以下の通りである。
長所
独特の優れた光沢がある。
熱の伝導性が低く保温性がある。
柔らかで肌触りが良い。
染色性がよく発色がきれいである。
短所
耐光性に弱く、黄変しやすい。
アルカリに弱い。
虫やカビに侵されやすい。
水に濡れると縮んだり、シミになりやすい。
絹織物についての注意事項は別ページで
アメリカ合衆国で生産されている綿花の総称。アメリカンコットン。主に中長繊維綿のアプランド綿(米綿種)が栽培されていますが一部スーピマ綿なども栽培されています。アメリカ合衆国は世界第2位の綿花栽培国です。また、生地屋さんでアメリカンコットンと言えば、一般的にアメリカ合衆国産のプリント生地(アメリカンコットンプリント)を指している場合が多い様です。
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アメリカンコットンを企画しているのは米国企業ですが、生産国は様々です。アメリカやヨーロッパだけでなく、日本製や韓国製のアメリカンコットンも輸入されています。巻き板や布の耳に生産国がプリントされていることがあります。一度確認してみてはいかがでしょうか。
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エジプト産の綿花の総称。エジプト産の綿は、繊維が長い超長綿(ちょうちょうめん)が多く、長さや強さで特に優れています。細番手の高級糸が作れるので薄地の織物やカタン糸等に使われています。エジプト綿と言えば、日本でも有名な高級綿の代名詞ですね。
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インド産の綿花の総称。インドでは綿花の栽培が盛んですが、高級綿を産出する所と、そうでない所のギャップが大きく、全体的に見ると比較的品質は落ちると考えられています。一部の超長綿の品質は非常に優れていますし、徐々に品質は上がって来ています。特にインド綿の製品は、薄地の高級品から厚地のインテリア用まで地域色豊かですので、皆さんの中には、すでにお使いになっている方もいらっしゃることでしょう。
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主にアメリカ合衆国のカリフォルニアで栽培されている綿で、繊維長3〜4cmの超長綿です。光沢もあり、細さとしなやかさも十分な高級綿です。夏の衣料に使用されており、最近良く見かける様になりました。
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南米ペルー産のピマ種の綿花。繊維長3.5cmの高級綿。カリフォルニア産のスーピマ綿のもとになったと言われています。この他にもペルーではデルセロ種やスーピマ種などの超長綿も栽培されています。
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カリブ海の西インド諸島で産出される超長綿で、シーアイランドコットン(sea island cotton)と呼ばれます。綿の中でも最も繊維が長く、しなやかさと光沢の美しさから、世界でも最高級の綿とされています。日本でも夏の高級服地として見かけます。専門店では一着分で10万円以上するものもあります。値段も超高級ですね。
> 協同組合西インド諸島海島綿協会
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有機栽培の綿で、米国の協会で特に認定されたものを、オーガニックコットンと呼んでいます。米国の有機栽培農業運動から生まれた綿です。栽培方法の違いによる区分で、品種の違いではありません。環境保護の観点から高く評価されています。ただし、一般の綿花についても農薬の残有量に問題ありませんし、赤ちゃんに使用しても、もちろん十分安全です(実際使われている訳ですが...)。安全性の点ではどちらも心配なく使用できると思います。現実的には栽培時よりも、加工段階での薬剤処理などに注意が必要だと考えられます。加工段階での化学薬品等の使用も最小限に抑えているという点では、オーガニックコットンは他のコットン製品との差別化がされていると言えます。
> 日本オーガニックコットン協会へ
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前出の綿の他にも、中国産の綿や旧ソ連の綿もありますが、あまり消費者の前にその名前が出る事は無い様です。例外的に中国の新疆ウイグル自治区のトルファン綿は有名です。最近流行の新疆綿はトルファン綿と同じものでしょう。また、アフリカのスーダン綿もエジプト綿と遜色ない超長綿です。
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綿は(わた)とも(めん)とも読めますが、(わた)と読むのと(めん)と読むのでは少し意味合いが違います。綿(わた)と言った場合は通常綿花を指します。また布団などに入れる中綿(なかわた)を指す場合もあります。綿(わた)は古来、絹の真綿(まわた)を指す言葉でしたが、しだいにもめん綿(わた)を指すようになりました。今では化繊綿(かせんわた)もありますね。日本語と違い、英語では(わた)も(めん)もCottonと言います。パッチワークキルトを習った方の中には、キルト綿を(きるとめん)と読む人がいますが、日本語としては(きるとわた)と読むほうが一般的です。
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手芸綿として売られている綿(わた)は、ポリエステルから出来た化繊綿(かせんわた)がほとんどです。化繊綿は軽く弾力性に富み手芸作品を作る上でたいへん便利です。ただし一度つぶれたら元に戻すことは難しいです。使う場合は、圧力のかからない作品に使うほうが良いかもしれません。(化繊綿のクッションがつぶれてしまい戻らないことなどよくあります。)しかしもっとも手軽で安価な綿ですから、上手に使いましょう。
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つぶ綿は化繊綿ですが、その形状が粒状になっているのが特徴です。粒状になっている事のメリットとしては、ひとつひとつの綿(わた)の粒が反発しあって均一になりやすいという点があります。また、独立した粒の為に圧力がかかった部分の綿が他の場所へ逃げやすく、通常の化繊綿のように絡み合ったまま潰れてしまう事が少ない様です。ぬいぐるみ等にも最適な綿(わた)ですが、一般の手芸綿より値段が少し高いです。
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キルトをされる方なら皆さん御存じの、シート状の綿(わた)です。お店で売られているキルティングの中に入っているあれですね。巾は1メートル前後のものが多い様です。この綿(わた)もポリエステルの化繊綿ですが、厚みが何種類かあります。作る作品によって入れる綿(わた)の厚みも考えなければいけませんね。
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パッチワークキルトで使われる化繊綿ですが、キルト綿と同様にシート状になっています。しかし、キルト綿より薄く、また、芯地扱いになっている事からもわかる様に、あまりフカフカしていません。キルト綿はミシンで縫う事が多い様ですが、パッチワークキルトは手で縫う事が多いので、やはり薄い方が縫いやすいですね。
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